- 2022.09.29
コラム更新!第五十五稿「会社の大切な秘密情報を守るために」-秘密情報の明示ができていますか-
■名ばかりの秘密情報保護契約
業務を外部企業に委託する場合に、秘密情報保護契約が提携されることが多いと思います。
しかし、秘密保護は契約をむすべば済むというものではありません。何が秘密情報なのか明確になっていなければ、秘密情報は法的には保護されないのです。
■何が秘密情報なのか
秘密情報明確に特定する方法としては、紙媒体では「㊙」などの表記をする、電子データではパスワード保護する、口頭で伝えた情報については追って書面などによって秘密とすべき内容を特定するといったことが考えられます。
■秘密情報として保護できているか
さらに秘密情報として認められるためには、実際にその情報が保護されていることが必要になります。業務上知り得た情報全てを秘密保護の対象にするのであれば、あらゆる情報に「㊙」表記やパスワード保護することに必要になり、仕事に支障が出てしまうでしょう。
■秘密情報として認められる三つの要件
不正競争防止法では保護対象となる秘密情報は以下の三つの要件を満たすことが必要とされています。
①秘密管理性・・・秘密として管理されていること
②有用性・・・有用な営業上又は技術上の情報であること
③非公知性・・・公然と知られていないこと
秘密情報を保護するためには、自社において本当に大切な情報は何なのか(②有用性)についてきちんと把握した上で、関係者以外に知られないように管理し(①秘密管理性、③非公知性)にすることが求められているのです。
■一方的な契約押しつけは信頼関係を損ねることに
業務を委託する場合に、判を押したように同じ文面の秘密情報保護契約を締結しようとするケースが目立ちます。しかし、まず考えるべきことは不必要に秘密情報を見せないようにすることや、業務委託の内容に関連する秘密情報がある場合にだけ、その秘密情報に対する実施可能な取り扱い方法についてです。
秘密情報保護契約さえ交わしておけばよいという考え方では、大切なビジネスパートナーとの信頼関係を損ねることになりかねないことに留意すべきです。