- 2023.11.22
コラム更新!第六十九稿「コミュニケーションにおける言葉の意義と危険性」
■コミュニケーションにおける言葉の意義
社内コミュニケーションの不足が原因となって、トラブルが起きることは電子メールやビデオ会議などのコミュニケーションツールが利用できる現代においても昔とさほど事情は変わりません。むしろ、言葉に対する意味の取り方が世代間で違いがあって、伝達したにもかかわらず理解してもらえなかったということがあちこちで起きています。
■「りんご」から想像するイメージ
「バカの壁」の著者である養老孟司氏は、リンゴはどれを見たって全部違うにもかかわらず、人はリンゴと呼ぶために「赤いリンゴ」という共通概念を作り出したと述べています。
私たちはコミュニケーションのたびにこの共通概念を持ち出しています。そして、この共通概念こそがトラブルの原因となってしまうことが多いのです。
■経験からくる認識の違い
同じリンゴでもつい最近、青いリンゴを見た人は「赤いリンゴ」を思い浮かべないでしょうし、特別な思いや経験がない人は「赤いリンゴ」を思い浮かべることでしょう。同じことが社内の会話においても、「売上」や「在庫」、「営業」、「生産」といった言葉を共通概念として捉える人と、特別な思いでとらえる人が出てきます。その結果、何が問題なのか、何をすべきなのかといった肝心なことがぼやけてしまったり、全く違う受け取り方をする社員が出てきたりするのです。
■内容確認の重要性
コミュニケーションでの伝達ミスをなくすためには、議事の最後に振り返りを行い、肝心な点について齟齬(そご)が起きないようにすることが大切です。聞き手においても内容理解に不安があるときは、積極的に「それは○○という意味ですか?」といったように内容確認することを心がけることが必要です。
■ベテラン社員、中途社員のリスク
ベテラン社員であっても、社内用語の全てを理解できているとは限りません。むしろ、ベテランになればなるほど、教えてもらうタイミングを失ってしまったことはわからないままになってしまいがちです。中途社員は特に社内用語を共通概念として受け止めてしまうリスクがあるため、違和感を覚えた時は内容確認することが必要でしょう。
■社内用語辞書・行動指針の作成
経営環境が急激に変化する中で、価値基準を変えざるを得ないことも少なくありません。
社内コミュニケーションを正確にするためには、社内用語の辞書を作成したり、価値基準となる経営理念や行動指針を文書化することも有効です。