- 2025.01.17
コラム更新!第八十三稿「スマホ脳にならないためのシステム思考」―全体を見る、過去や未来にも思いをはせる―
■視野も思考も狭まるスマホ脳が増えている
『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著)によると、スマホを長時間使用すると視野が狭くなって周辺が見えにくくなり、また、スマホの画面に集中しすぎることで周りへの注意がおろそかになり、思考までもが狭まってしまうとされています。
■会議だけではプロジェクトは動かない
会議と会議体とを明確に区別しないプロジェクト活動では、毎回話し合いだけが行われるだけで何の進捗も見られません。プロジェクトの目的や期間、予算、メンバーの役割も決めないまま、ただ集まっているだけでは成果を期待するのは無理があるでしょう。
■海面上につきだしている氷山の一角だけで考える危険性
職場でも家庭でも人の会話は海上に出ている氷山の一角だけで行われています。本当は人が何かを語るとき、その背後には海の下の氷山の本体のように、口には出さない信念や、感情や不安、期待など様々な思いが隠されています。言われたことだけで怒ったり悲しんだりするのでは、そのうち誰も忠告も相談もしなくなってしまうでしょう。
■同じことを読んでも聞いても意味が変わる「文脈(コンテキスト)」の理解力
あらゆる物事には様々な関係があり、それらがつながりあってストーリーを作り出しています。小説に伏線があるように、現実の世界においても原因と結果や刺激と反応、全体と部分などいろいろなつながりがあります。人の話や文章に隠されたつながり―文脈(コンテキスト)―が存在し、それに気づけることによって、その人の真意がわかるのです。
■小説で鍛えるコンテキストを探る力
小説の中の登場人物がどうしてこんな言動をするのかということを考えながら読んでいくと、文脈(コンテキスト)に気づく能力を養うことができます。登場人物の心の中まで描写される小説の中で、読者はその言動の背後にある思いまで共感することができるからです。
■システム思考とは
システム思考とは、物事の一部だけに注目せず、物事のシステムとして全体をとらえる思考方法です。システムとして全体をとらえるとは、個々の物事が関連し、影響を与えあって、原因-結果や刺激-反応、全体-部分、過去-未来といった様々な関係性を生み出していると考えるということです。
■事実は小説よりも奇なり
今起きていることはさかのぼると意外なことが原因であり、すでに全く違う物事に影響を与えているということが起きています。世の中がますます複雑に絡まり合う現代において、視野も思考も狭まるスマホ脳になっていては生き抜いていくのも大変です。まさに「事実は小説よりも奇なり」なのです。