- 2021.04.13
コラム更新!組織の将来構想を実現するための力量モデル、目標管理の必要性-今の延長線上に成功があるとは限らない-
■力量モデルの策定はなぜ難しいのか
ISOマネジメントシステムでは従業員の力量モデルを策定することが求められている。
力量は単なる一般的なスキルレベルのことではなく、自組織が目標を達成するために必要となるスキルレベルであることが求められています。力量モデルの策定において留意すべきは、現状のマネジメントシステムのレベルに合わせた力量では、それ以上の成長を期待できないということです。継続的改善をめざすべきISOマネジメントシステムが結果的に現状保守的なスタンスに陥ってしまい、従業員も組織も成長をとめかねいのです。
■現状のための力量と成長のための力量を区別する
計画したマネジメントシステムの運用のために必要となる力量を持つ従業員が必要となることは当然のことです。しかし、不適合を恐れてカイゼンをしなくなっては、それ以上の成長は期待できません。失敗を積み重ねてこそ新しい成功があるはずです。失敗してでも新しいことに挑戦するポジティブな意識を生み出すためには、「今」はまだ到達していない高いレベルの力量モデルを従業員に示す必要があるのです。
■陥りがちな目標管理の問題点
力量モデルに関連するものとして目標管理があります。ここでもまた現状目線での目標設定では成長が期待できません。下から上をみる目標管理では、単なる現状能力の向上にしかなりません。場合によっては、目標未達を恐れて達成可能性が高い無難な目標を設定する従業員も出てくるかもしれません。
■組織の将来構想から力量モデルを設計する
有効な力量モデル、目標管理制度を実現するためには、明確な組織の将来構想を描くこと不可欠です。今の延長としての力量や目標ではなく、将来の組織像を実現するために必要となる力量、目標を考えるのです。Jリーグのサッカーチームの選手はリーグ優勝したとしても、上位リーグに上がったときに残れるとは限りません。現状チームで求められるレベルとしては優れていても、将来のチームにおいて求められるレベルには届かないということは当然に起きるのです。
■力量モデルと現状能力の差が目標管理の出発点
組織の将来構想から設計された力量モデルに適合する人材になるためには、現状の力量レベルとの差を埋めていくことが必要になります。そのためにどのような教育や経験を積んでいくのかを考えるのが本来の目標管理なのです。AIなど情報技術の高度化や企業競争のグローバル化など大きな変動が予測される現代において、組織も個人も革新的な成長が求められるのではないでしょうか。