- 2021.05.6
コラム更新!ISO9001は革新を示唆している-改善には現状打破する変更が含まれている-
■現状ありきのマネジメントになっていないか
ISO9001などマネジメントシステムを運用している企業は少なくありません。しかし、そのマネジメントシステムが企業経営にとってどれほど役に立っているのでしょうか。品質にしても環境にしても不適合を起こしてはいけないと考えることが皮肉にもちょっとした工夫すらできなくなってしまうということは起きていないでしょうか。
■手順の徹底や教育訓練の強化が本当の解決策か
不適合には必ず本質的な原因があります。しかし、多くの是正措置が表面上の原因改善にとどまっています。大きな不適合が起きた場合でも、再発防止策は手順の徹底や教育訓練の強化といったありきたりのものになりがちです。しかし、本当に手順の徹底や教育訓練の強化が解決策でよいのでしょうか。手順自体に改善の余地がないのか、教育訓練の内容自体に問題はないのか、そもそもについて考えてみるべきなのです。
■小さな変化に気づいて時代の流れに乗り遅れない
不適合の発生は不良品や納期遅れを起こして客先からの信用を失いかねません。失敗はないにこしたことはありません。本当にそうでしょうか。単純なミスや怠惰による失敗は不適合として再発防止を徹底すべきでしょう。しかし、失敗の中には起こるべきして起きるものがあります。客先仕様の微妙な変化や優先依頼の飛び込みといった外部環境の変化もあれば、担当者の急な病欠、機械設備の不調など内部環境の変化も起こりうるでしょう。最初は小さな変化だったものが後になって大きなトレンドとなることはよくあることです。今のままでよいのか、今まさに変革のときではないのかという意識を常に持っていなければ時代の流れに乗り遅れてしまいかねません。
■ISO9001は革新を示唆している
実はISO9001も革新の必要性を示唆しています。JISQ9001:2015品質マネジメントシステム-要求事項の中の「10.改善」の「10.1一般」の中のさらにその下にある「注記」には以下のような記載があります。「注記 改善には、例えば、修正、是正処置、継続的改善、現状を打破する変更、革新及び組織再編が含まれ得る。」現状を打破する変更、革新は手順遵守や教育訓練といった守りの姿勢だけでは達成できません。よりチャレンジングな取り組みが必要になってくるのです。
■よかったことからも教訓を得るKPTによる振り返り
チャレンジングな改善のための取り組みとしてKPT手法が注目されています。KPTでは仕事の振り返りをKeep(よかったこと)、Problem(悪かったこと)、Try(試すこと)に分けて行います。Problemに対して改善のためにTryすることを考えるのは当然ですが、KPTではKeepに対してもTryを考えます。よかったことであっても、もう一度起きてもできるか、本当はもっと良い方法があったのではないか、といったように思考を止めないのです。
現状ありきであればよかったね で終わるところを、現状打破のためには、現状満足ではなくもっと上の世界をめざさなければなりません。貴社のマネジメントシステムも革新ベースにモデルチェンジすべき頃ではありませんか?