- 2021.05.27
コラム更新!カイゼンには秘訣がある-なぜ5S活動はうまくいかないのか-
■簡単そうにみえることが本当は難しい
カイゼン活動に取り組む企業は多いでしょう。カイゼン活動は5Sなどのようにムリムラムダをなくすといった当たり前のことばかりで、内容的にも難しいものではありません。しかし、その一方でカイゼン活動の本家であるT社のような成果を得られたという話しはあまり聞きません。実は簡単そうにみえることが本当は難しいのです。
■前提が間違っていないか
5Sの中でも基本である整理整頓では何を基準とするかが重要となります。必要なものと必要でないものを区別する基準が社内で共有できていなければ、必要なものが廃棄され、不必要なものが残されてしまうことになってしまいかねません。あまり使われることのない道具や材料であっても、この先の注文では必要になるかもしれません。空いているスペースは飛び込み案件に対応するためのワークエリアだったりします。生産性からみれば非効率な作業方法でも労働安全のために不可欠かもしれません。職場における「おかたづけ」は、前提となる業務知識を適切に持った者がやらないと秩序を乱すだけの危険行動になりかねないのです。
■白紙になって現場をしっかりと見る
T社のカイゼン活動では、現場現物現実を何よりも重視します。現状をあるがままに正確につかむからこそ、適切なカイゼンが可能になります。推測や主観のまじった現状把握では、正確な分析やより良い改善は望めません。思い込みを捨てて頭の中を白紙し、現場に行って実際に何が起きているのかをしっかりと観察することがカイゼン活動を成功させるために不可欠なのです。
■問題を前向きにとらえるからこそ生まれるアイデア
発見された問題は当然、好ましいことではありません。ISOマネジメントシステムに取り組んでいる企業であれば、不適合として再発防止に努めることでしょう。問題をなくしていくことも大切ですが、カイゼン活動ではもう一歩踏み込んで、問題こそカイゼンのチャンスとして前向きにとらえることが必要です。問題を起こした担当者を叱責するだけでなく、どうすれば問題を起こさずにもっと良い結果を出せるかについて前向きに考えていくべきなのです。T社で部下からアイデアを引き出すことがうまい上司が評価されます。部下の思いつきやアイデアに対して、「できるわけがない」「失敗したらどうするつもりだ」とやる気をそぐような上司の下では、カイゼンは生まれないのです。
■1人の100歩より100人の1歩ずつ
T社では、1人の100歩より100人が1歩ずつ行うカイゼンを大切にしています。全員で取り組み、全員で達成感を味わうことをめざしているのです。限られた社員だけがカイゼンに取り組むのではなく、みんなで取り組むことによって、カイゼンによる直接の成果だけではなく、知恵や体験が共有され、カイゼン自体が企業文化になっていくことを知っているからです。
諸外国ではT社イズムを学んで成功する企業が少なくありません。やろうと思えばできる「カイゼン」活動に本腰を入れて取り組んでみませんか。