- 2020.05.11
コラム更新!四つの目を駆使するマネジメント ―虫の目・鳥の目・魚の目・コウモリの目―
■同じ景色をみていても人によって見えているものが違うのはなぜか
同じ場所同じ状況で起きている現象を同時にみているにもかかわらず、現場(ローマネジメント)とミドルマネジメント、トップマネジメントとでは見え方、感じ方が違うのはなぜでしょうか。そこには鳥の目・虫の目・魚の目・コウモリの目という四つの目が関係しています。
■虫の目・鳥の目・魚の目
虫の目とは、間近にあるものをまさに虫眼鏡でみているようなリアル感あふれる現場の視点とも言うべきものです。鳥の目とは上空から全体を見渡す、ミドルマネジメントに不可欠となる視点です。魚の目とはこれから起きる先のことをみる視点です、高速で泳ぐマグロのような魚は目の前の景色ではなく、ずっと先をみています。経営環境の変化を先読みし、進むべき方向性や取るべき戦略を考えるトップマネジメントが持つべき目が魚の目です。虫の目・鳥の目と魚の目に優劣はありません。現場に近いローマネジメントの担当者は虫の目を持つべきことは当然であり、自分の持ち場全体の状況を把握すべきことはミドルマネジメントの当然の役割です。経営者が先のことを考えない会社が生き残ることは難しいでしょう。
■マネジメントにどれも不可欠な虫の目・鳥の目と魚の目
自分とは異なる目の意義とそれを誰が持っているのかを知っておくことによって、自分の目を補完することができます。ミドルマネジメントにとって、現場の声など虫の目に何が見えていることは自分の鳥の目で見えていることが正しいかを検証するために必要なことでしょう。魚の目を持つトップマネジメントにとっては魚の目と鳥の目はまさに先のことを推測するための材料を与えてくれるインプットとしての役割を果たすものです。部下や現場とのコミュニケーションが悪くなれば経営瀬略の質も悪くなるのは必然のことです。
■コウモリの目がイノベーションを起こす
コウモリの目は、コウモリのように逆さまから見る目です。逆の立場で見る、反対意見を考える、発想を変えてみるという視点がコウモリの目にあたります。現場であれば業務改善のヒントを、ミドルマネジメントであればプロセス革新のヒントを、そしてトップマネジメントであれば経営革新を起こすためのヒントをコウモリの目から得られる可能性があります。自分達の仕事を顧客の立場からその価値を考えてみる、滞留在庫や遊休資産の立場からその問題の大きさを認識するといったことがコウモリの目にあたります。独りよがりの考え方から抜け出せないときは、コウモリの目を考えてみることによって客観的な視点から自分の仕事を見ることができるようになるかもしれません。