- 2022.12.14
第五十八稿「ダイバーシティからインクルージョンへ」-公平なだけでなく活力ある職場づくりのために-
■同じ価値観を持つシニア男性だけでは気づけないことがある
多くの会社ではシニア男性の社長や部長が仕事の中心となって、経営戦略や事業計画、業務ルールなど様々な取り決めを行っています。しかし、同じ価値観を持つシニア男性だけで全てを決めてしまうことに問題はないでしょうか。会社には様々なチャンスやリスクが起きています。同じ価値観を持つシニア男性だけで全てに気づくことができるでしょうか。
■価値観が違う人には違う景色が見えている
同じものを見ていても同じことを感じていても、価値観が違う人には異なる景色が見えています。人はそれぞれ学んできたことも経験してきたことも違います。いじめられた経験を持つ人は不条理なことに敏感であり、差別や偏見を受けてきた人は不公平な扱いに嫌な思いをするでしょう。苦難を切り抜けてきた人はピンチがチャンスに見えるかもしれません。
■「社員は~」と言うときの社員はどんな人か
行動指針などで「社員は~のために努めます。」というときの「社員は」どんな人を指すのでしょうか?若手でも女性でも転職組でも外国人労働者でも区別なく同じことを求めてもよいのでしょうか。シニア社員がイメージする社員の平均像に問題はないでしょうか。
若手社員や女性社員はシニア社員に遠慮することなく発言や行動することにためらうかもしれません。転職組や外国人労働者は会社のことについて十分に教えてもらえていないかもしれません。
■若手や女性、転職組、外国人労働者が意見を言える職場をつくろう
若手や女性、転職組、外国人労働者がきがねすることなく意見を言える職場では、常にカイゼンのヒントにあふれています。価値観が違うたくさんの「目」が機能することによって、様々な気づきを会社に与えてくれるのです。
■多様性を受け入れるダイバーシティから多様性を生かすインクルージョンへ
様性を受け入れるダイバーシティは確かに大事なことですが、受け身の姿勢では会社を変えることはできません。インクルージョンでは多様性を積極的に生かすことによって、会社にイノベーションを起こしやすくすることを考えます。意見が違う多種多様な人材をチームにまとめて、価値創造していく新しい形のリーダーの登場が求められているのです。