- 2023.02.14
第六十稿「組織横断プロジェクトが失敗する理由」-越えられない部署の壁-
■大きな変革に不可欠なプロジェクト活動
デジタル化やグローバル化など経営環境の急激な変化に対応していくかは現代企業における死活問題とさえ言えるほど重大な経営課題となっています。特に激動ともいえる現代において、時代の変化についていけないことは企業の没落を意味することから、「命懸け」で変化していかなければならないといっても過言ではないでしょう。こうした状況において注目されているのが、部署の壁を越えたプロジェクト活動です。特に大きなテーマにおいては、全社的なプロジェクトチームが編成されることも珍しくなくなってきています。
■うまくいかないことが多い全社プロジェクト
しかし、大きなプロジェクトになればなるほどうまくいかずに頓挫してしまうことが少なくありません。そもそも縦割型組織であることが多い日本企業では、部門ごとの独立性が強く、部門間に壁ができています。トップがかけ声をかけたところで、今までコミュニケーションすら希薄だった部署がチームとして機能するとは考えにくいのです。
■組織横断プロジェクトが失敗する理由
組織横断プロジェクトが失敗する理由として考えられるものに、①プロジェクトメンバーの参画意識が低い、②トップのサポートが弱い、③プロジェクトの目的が浸透しない、④無難な議論に終始する、といったことが考えられます。やれと言われたから集まってはみたものの、自部署の事情や思惑を持ち込み、できるだけ自部署に負担がかからないようにと考えるメンバーがいてはうまくいくはずがないでしょう。
■成功するプロジェクトは何が違うのか
組織横断プロジェクトを成功させるためには、チーム形成が鍵を握ります。そのためには、まずはスモールスタートとして、関連する二部署間での部署横断から始めるべきです。
組織横断プロジェクトを成功させるには、前述した失敗理由の反対を行うことが必要です。関連する二部署に絞り込むことによって、双方に関心があり、実現すればどちらにもメリットがある目的を選ぶことが可能になります。メリットが明白なプロジェクト目的であれば、トップのサポートも受けやすく、歯車がかみ合った議論が期待できるでしょう。
■全社一丸となったチームをつくれるか
部署の壁を越えるということは、全社一丸となったチームをつくることを意味します。
縦割り組織化が深刻な組織では、課や係、担当者間にも溝ができています。長い時間をかけて形成されてしまった縦割り組織化を解体するには、一つずつ解きほぐす根気と情熱が不可欠になるのです。