- 2025.04.14
第八十六稿「群盲象を評す―現代ビジネスパーソンが古い寓話から学ぶべき教訓―」
■群盲象を評す
インドで6人の盲目の男が象に会いたいと出かけた。彼らはそれぞれが異なる部位を触った上で、象のことを壁、蛇、樹、扇、ロープのようであると主張し、意見が対立した・・・
「群盲象を評す」は、盲人たちが象の一部に触れて、象についてそれぞれが異なる説明をするというインドの古い寓話です。物事の一部しか見えていない人たちが、それぞれ異なる意見を述べて全体像を誤って判断してしまう様子を表しています。
■現代のビジネスパーソンがこの寓話から学ぶべき教訓
象の一部だけを触って、壁や蛇などと勘違いしてしまうのは、目が見えていても起こりうることです。大量の情報にアクセスできる現代においても、間違った情報に惑わされることばかりです。
■結局は真実について何もわかっていない
我々が既知と思っていることでも、まだ見ていない別の面があるかもしれません。あらゆる知識を仮説と考えて、より優れた仮説を求めて真理追究していく姿勢を持つことが大切です。知っている、わかっているという思い込みがある限り、人は成長できません。
■「群盲象を評す」の状態に陥らないために
「群盲象を評す」の状態に陥らないために次のような意識を持つことが大切です。
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全体像を把握する努力を怠らない
一部の情報や視点だけで判断すると、誤った結論に至る危険があります。 -
多様な視点を尊重し、統合する力を持つ
他部門など立場の違う人の意見に耳を傾けることによって、正確な判断が可能になります。 -
「部分最適」ではなく「全体最適」を志向する
自部署のことばかりでなく、組織全体に目をくばる視点を持つことが大切です。 -
客観的事実にもとづいて判断する
偏った情報や経験、偏見に振り回されず、客観的事実にもとづいて中立的な立場から判断することが求められます。 -
コミュニケーションによる情報共有
他部署との横連携、トップから現場までの縦連携といったコミュニケーションの促進によって断片的な情報が集まり、全体像が見えてきます。
■現代版「群盲象を評す」である「組織のサイロ化」
各部門による部分最適が行き過ぎると、それぞれが「自分の見ている象」だけで判断してしまう現代版「群盲象を評す」である「組織のサイロ化」が起きてしまいます。自社のことや顧客のこと、社員のことなど知っていそうで本当はわかっていないのではと一度考えてみてはどうでしょうか。