- 2020.07.16
経営にスピードアップをもたらすOODAマネジメント ―機会と脅威がめまぐるしく変化する時代に対応する―
■新型コロナウイルス緊急事態で分かれた対応の善し悪し
新型コロナウイルスによる緊急事態のために営業ができなくなって、売上が激減したところもあれば、テレワークやリモート営業で切り抜けた企業や、持ち帰りや通販、先売チケットでなんとか持ちこたえている飲食店もあります。Webセミナーやオンライン商談ツールを使った営業スタイルや、ライブコマースによる臨場感あるネットショップなど平常時に戻った後でも定着しそうなものもありそうです。今回の緊急事態のような脅威は無差別にやってきましたが、その対応には大きな差があったのではないでしょうか。
■新型コロナウイルス緊急事態を考慮しないSWOT分析
ISOマネジメントシステムを含めて多くの企業ではPDCAサイクルをまわしています。そして、PlanフェーズではSWOT分析による経営環境の把握を行っているはずです。もし、SWOT分析が新型コロナウイルス緊急事態の前に実施したとしていたら、そのPlanは有効でしょうか?新型コロナウイルス緊急事態は、大きな脅威であっただけでなく機会にもなったことは前述のとおりです。残念ながら多くの企業が実践しているPDCAループは遅すぎて、変動スピードが速い世界にはついていけていないことが多いのです。
■注目浴びるOODA
最近、PDCAに変わって注目されているものに、OODAがあります。OODAとは、Observe(観察)、Orient(状況判断、方向づけ)、Decide(意思決定)、Act(行動)の頭文字をとったもので、わかりやすくいうと「みる」「わかる」「きめる」「うごく」という意味になります。Act(行動)の後は、Observe(観察)段階へ戻り、OODAのループをもう一度最初から繰り返します。OODAの特徴は一度切りの実行で終わるのではなく、調整しながらこのループを何度も素早く繰り返すことにあります。
■激動の時代に力を発揮するOODA
年に一回のSWOT分析や計画策定、レビューというPDCAサイクルでは、何が起きるかわからない時代には遅すぎます。新型コロナウイルスもいつ第二波がくるかもわかりません。OODAが求めれているのは、固定した計画に固執するのではなく、目の前の変化から目をそらさずに、そのときそのときにあった判断をすることなのです。
■PDCAの時代は終わりなのか
それではPDCAの時代は終わったのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。PDCAとOODAとでは目的や適用場面が違うのであり、組み合わせて活用すべきものなのです。PDCAでは将来を見通し、全体を鳥瞰する中で今のうちに準備しておくべき資源の確保や人材育成・組織開発、しくみづくりといった戦略マネジメントの取り組みに適合します。これに対してOODAは、今まさに直面している問題に対して即座に対応方法を考えないといけない現場マネジメントに適合します。トップやミドルマネジメントであっても、現場の危機に対して先頭に立って指揮しなければならないときがあります。経営幹部だからといって、部屋にこもっているだけでは済まされない時代なのです。反対に、OODA的に行動している人は、落ち着いた時にPDCAに立ち戻って大きな振り返り作業をするべきです。事件は会議室で起きているわけでもなければ、現場だけで解決できるものでもないのです。