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  • 偏見や思い込みが組織を疲弊させる(U理論)-個人の変容から始まる組織のイノベーション-
  • 2020.11.26
  • 偏見や思い込みが組織を疲弊させる(U理論)-個人の変容から始まる組織のイノベーション-

■「やり方(Doing)」ではなく「あり方(Being)」を変えるU理論
U理論とはオットー・シャーマー博士が開発した個人の変容や組織のイノベーションのための理論です。U理論では「やり方(Doing)」ではなく「あり方(Being)」が大事であるとしています。過去の延長線上にないものを生み出すためには、人の内面における「意識の変容」が不可欠であり、そのためには先入観を排しありのままを観察することが必要になります。

■先入観を排し、ただひたすら観察する
先入観を排しありのままを観察するためには、「過去の経験によって培われた枠組み」を取り払わなければなりません。「過去の経験によって培われた枠組み」はメンタルモデルと呼ばれる偏見や思い込みといった好ましくない意識です。人はお互いにこのネガティブなメンタルモデルにもとづいてコミュニケーションするため、ありのまま事実をとらえることができずに、否定や思考停止などが起こり、不毛な議論や対立に発展していきます。こうした状況から脱却するためには、自分自身がその思い込みや囚われていることに「気づく(アウェアネス)」ことが必要です。そのためには自分を俯瞰しているもう一人の自分を置いて、心に起こっている動きに意識を向けるとよいとされています。

■自分と他者の違いがなくなったときに真理が見えてくる
将棋や囲碁などを第三者の目でみていると戦局がよく見えてくるように、自我をなくして自分も他者も含めて全体を俯瞰することができたとき、そこで何が起きているのか、何が問題なのかがはっきりと見えてきます。私達はもともと真理を見抜く力を持っているにもかかわらず、偏見や思い込みという余計なもののせいで、目が曇ってしまっているのです。

■何かを「変える」とは何かを「手放す」こと
立場や評判、事情、プライドなど私達には守りたいものがたくさんあります。そうした余計なものを守ろうとして、本当に大切なものを失ってしまうのです。U理論ではイノベーションとは何かを「変える」であり、そしてそれは何かを「手放す」ことと同じであるとしています。立場や評判、事情、プライドなどよりも、もっと大切で重要なものがあるはずです。ワン・チームで有名になったラグビーの日本代表も、メンバーは個人プレーで目立つことを捨てて、チームプレーに徹したと言われています。私達も余計なものを大事にして大切なものを失うことのないようにしたいものです。