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  • 2021.10.1
  • PoC概念実証がなぜ注目されるのか-スピード経営だけでは危険すぎる-

■PoC概念実証とは
PoC(Proof Of Concept)は「概念実証」と訳され、商品開発やシステム構築などのプロジェクトの前に、製品やシステムの有効性を事前検証するために行われる活動です。商品開発では、試作や試用、マーケティングリサーチ、テストマーケティングといった活動を通じて、その商品が本当に売れるのかを検証します。システム構築では、開発しようとするシステムやパッケージソフトの機能や性能について、画面や帳票のプロトタイプを制作するなどして運用イメージを確認していきます。特に顧客ニーズの多様化や技術の高度化といった経営環境が急激に変化する中でPoCの重要性が再確認されています。

■変動の激しい時代だからこそ事前検証が重要に
 変動の激しい時代には、意思決定と行動にスピードが必要とされます。しかし、その一方で、急ぐあまりに今まさに変化が起きようとしている状況に無防備に踏み込んでしまうリスクもあります。今までの常識や定番、法則が今日明日にも変わってしまうかもしれません。過去のヒット商品や成功事例にもとづいて行うトップの意思決定も現場での取り組みも今回は通用しないかもしれないのです。

■成功しても失敗してもCSF主要成功要因が得られる
 経営方法論にCMM成熟度モデルというものがあります。成熟度モデルにおいては、組織は成功からでも失敗からでも教訓を得て学習しながら成長していくことを目指します。PoC概念実証はまさに教訓による学習を重視するものだと言えます。本格的な活動を行う前に小さく始めてみることによって、大きな成功もない代わりに、小さな失敗から大きな教訓が得られるのです。PoC概念実証の結果、よかったことと悪かったことが見つかったとしましょう。学習という意味では、よかったことからも悪かったことからも何らかの教訓が得られ得るはずです。
「これがよかった」、「こうすればよかった」のいずれからでもCSF主要成功要因が得られるのです。

■PoC概念実証の進め方
 PoC概念実証ではCSF主要成功要因が得ることが目的になりますから、いきなり作ること、やることは好ましくありません。後で検証できるように段階(工程)を分けて進めていくことが不可欠になります。何をすべきかを決める「要件定義」から定義された要件にもとづいて実現イメージを考える「設計」、設計された実現イメージにもとづいて試しに作ってみる、やってみる「試作」、試作されたものを試しに使ってみる「試用」という段階を経て、最後に「これがよかった」、「こうすればよかった」からCSF主要成功要因を引き出す「評価」を行うのです。