- 2022.03.30
第四十四稿「問題の根本原因にはレベルがある」-方針、基準、手順、能力-
■問題の当事者が解決できない理由
どこの組織でも何らかの問題が日々起きていて、管理者や経営者を悩ませています。問題を起こした担当者は叱責され、再発しないよう関係者まで強く指示されるにもかかわらず、同じような問題が何度も起きてしまいます。
■問題を引き起こす根本原因を見つける
問題には表に現れる現象と、その裏に隠れている原因とがあります。さらに原因を引き起こしている原因の原因があり、ずっと遡っていくと根本原因と呼ばれる究極の原因にたどり着きます。根本原因を見つけ出さなければ完治しないのは、人の病気も組織の問題も同じです。
■根本原因の四類型-方針、基準、手順、能力-
あらゆる問題を引き起こす根本原因は、大きく分けて四つの類型-方針、基準、手順、能力-に分けることができます。「方針」とは基本的な考え方であり、企業理念や経営方針といった形で内外に発信されていることが多く、顧客満足や社会貢献、継続改善といったその組織における基本となる価値観となるものであり、これが実際には共有されていないことが問題になります。「基準」とは方針にもとづき、職務上守るべき具体的な判断基準となるものであり、行動指針として定めている企業も見かけます。「基準」があいまいな場合、方針が建前となり本音としての実際の行動が乖離することになります。「手順」は仕事のやり方であり、仕事の属人化によって、改善困難な停滞を生み出します。「能力」は仕事を適切に遂行するための責任能力です。単なる能力不足だけでなく権限逸脱や役割放棄もこれにあたります。
■問題解決のためには原因把握が不可欠
組織内で起きている問題の解決のためには、現象問題を引き起きしている根本原因を見つけ出すことが必要です。担当者が方針、基準を共有していない場合は、価値観を共有できていない社員が他にもいる可能性が高く、類似する潜在問題の存在を懸念すべきでしょう。手順書がある、職務が明確になっているにも関わらず、仕事が属人的になっている場合は、手順書は形だけになっているだけ、職務権限も形骸化している恐れがあります。
■根本原因は当事者にあるとは限らない
根本原因は当事者にあるとは限りません。それどころか社内にはないということもあり得ます。前任者の好ましくない仕事のやり方が職場に根付いてしまい、新しい方針や基準を策定しても、手順を標準化しても、責任権限を透明化し、適切な能力教育をしたとしても、全てを無意味化してしまうこともあります。回り道になりそうに思えても、根本原因がどこにあるのかをしっかりと見極めた上で、その根本原因がしっかり完治するまで粘り強く改善取り組みすることが、結局、問題解決のための王道なのです。