- 2023.01.17
第五十九稿「パートナーシップ構築宣言」でホワイト企業に-取引先との共存共栄-
■問題視される下請先へのしわ寄せ
経済状況が悪化すると、大企業などの元請企業が中小企業などの下請企業に対して、取引価格の引き下げを行うことなどが起きやすくなります。新型コロナウイルスの影響が長引いたことで、取引上の立場の悪化や不合理な計画変更、値下げなどの要請といった取引条件の「しわ寄せ」が懸念されています。また、昨年末の急激な円高以降、下請け企業には取引先からのコストダウン要求が強くなっていると言われています。
■国をあげてのブラック企業排除へ
こうしたことを防ぐために、政府や経済団体は2020年6月、不当な取引をしないことやサプライチェーン全体での協力関係を強化するなどといったことを企業に公式に宣言してもらう「パートナーシップ構築宣言」の仕組みを創設しました。各企業の宣言内容は専用ポータルサイト(https://www.biz-partnership.jp/list.html)上で公表されます。
■パートナーシップ構築宣言とは
パートナーシップ構築宣言は、サプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築することを、「発注者」側の立場から企業の代表者の名前で宣言するものです。「宣言」を公表した企業には、ロゴマークによるホワイト企業としての信用イメージを高めることができることや、事業再構築補助金やものづくり補助金などの審査での加点措置や賃上げによる税制優遇などのメリットが用意されています。
■中小企業も例外ではない
パートナーシップ構築宣言は大手企業だけが対象ではなく、中小企業もまた発注者としての立場がある限り、例外ではありません。大手企業を中心に多くの企業が取り組んでいるSDGs(持続可能な開発目標)の中にも「目標17: パートナーシップで目標を達成しよう」があります。パートナーシップを実現するためには強い信頼関係が不可欠になります。信頼されない中小企業には健全な発注先は集まりません。その結果、サプライチェーン全体から排除されていくのです。
■エコシステム時代への生き残るために
エコシステムとは、優良企業同士が協業・連携することで共存虚栄しようという取り組みです。ブラック企業の居場所がなくなっていく一方で、優遇されるホワイト企業同士が結びつきを強めていくことは間違いありません。今後、取引連鎖の中で下請けいじめをするような企業が排除されていく動きはますます強くなっていくでしょう。