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  • 2024.05.14
  • 第七十五稿「Excel依存がDX推進を遅らせる」―ITの属人化から脱却しよう―

■Excelなしでは会社がまわらない
うちはIT化が遅れていると嘆く会社でも、実際には上から下までExcelで仕事をしているということが珍しくありません。どれほどあるのかと思うくらい、個人のパソコンやファイルサーバ上にExcelファイルがあふれています。うちはクラウド化が進んでいるというところでも、ExcelがGoogleスプレッドシートに、ファイルサーバがクラウドストレージに変わっただけで事情はExcel時代とさほど変わらないと思うことが少なくありません。

■Excelに対する過剰依存の弊害
Excelに過剰依存するとどのような弊害があるのでしょうか。以下、主な弊害について列記してみます。

・人的ミスが増える、発見が難しい
 簡単に計算や集計できる反面、式などにミスがあると永遠に間違い続けることになる。

・業務が属人化する、人が変わるとわからなくなる
 自分だけでつくれてしまうため属人化しやすく、自分勝手なものになりやすい。

・関数やマクロなど作り込みすぎると恐くて修正できない、保守できない
 複雑になればなるほど、本人ですら修正することが恐くなり、保守不能に陥る。

・フォーマットがバラバラ、情報共有できない
 フォーマットや用語などがバラバラで、社内外との情報共有ができない。

・アクセス制限がしにくい、情報流出の危険性がある
 容易にデータ受け渡しができ、パスワードを付けても忘れてアクセス不能になる。

■Excel依存がDX推進を遅らせる
個々の社員にとってはExcelが担当業務を効率化できる不可欠なツールであっても、会社全体で考えれば、情報共有できない、業務連携できない、つくった人がいなくなったら仕事ができなくなるなど問題ばかりが浮かび上がってきます。Excel依存を続ければ続けるほど、クラウドやローコードツールを使って全社的なデジタル化を推進することで大きな成果を出せているDX先進企業との競争力格差がますます大きくなるばかりです。

■ITの属人化から脱却するために
Excel依存によって加速するITの属人化から脱却するためには、

・自分勝手なIT活用をやめさせる
・本来的な表計算ソフトの使い方に回帰する
・ITの全社化を促進するローコードツールやデータクラウドにシフトする

といった取り組みが必要です。しかし、各部署、各担当者が自部署や自分のためだけにExcelが使えればよいと思っている限り、誰も今のやり方を変えようとはしないでしょう。 大切なことは、全社員が一丸となって会社をよくしようという「全体最適」の価値観を社内に植え付けることなのです。