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  • 第七十八稿「売上を生み出すのは商品ではない」―売上ではなく顧客満足のために動く「エコシステム」の時代に―
  • 2024.08.20
  • 第七十八稿「売上を生み出すのは商品ではない」―売上ではなく顧客満足のために動く「エコシステム」の時代に―

■買ってもらえば売上があがるという大きな勘違い
顧客ニーズの多様化やグローバル化などによる競争の激化など、ビジネスにおいて売上や利益を上げるのは昔よりも間違いなく難しくなっています。少なくとも昔ながらの「売ります」「買って下さい」だけの営業スタイルでは業績を上げるのは困難になってきているのではないでしょうか。

■商品ではなく顧客満足が売上を生み出す
営業担当者は売上をもたらすのは商品であると考える人が多いのですが、買う側からみると必ずしもそうではないことに気づきます。ネット通販などで購入した商品が返品するほどの欠陥はないものの、二度と購入したくないと思うような経験は多くの人がしたことがあるのではないでしょうか。売上をもたらすのは商品であることに間違いはないのですが、その商品は顧客満足を生み出すものでないといけないのです。

■顧客の相談をねじ曲げる自分勝手な営業
商品が顧客満足を生み出すからこそ売上につながるのだということを知っていれば、類似する商品やサービスが存在しても、顧客の問題解決力に差があれば競争に勝てることに気がつけるはずです。反対にそのことに気づけなければ、値下げや強引な営業でしか突破するしかない手詰まり状態に陥ってしまうでしょう。私が知るケースでは、顧客がある営業担当者に困り頃について相談したのに、その困りごとに関連する自社商品のアピールに終始し、顧客からうんざりされるということもありました。

■顧客といっしょになって顧客満足を生み出す
顧客からの困りごと相談をねじ曲げて自分勝手なセールスをしてしまう営業担当者がいる一方で、自分ごとのように考えて自社商品では解決できない場合は、他社商品を紹介してでも顧客の困りごとを解決してあげようとする人もいます。こうした人達は顧客からの信頼を得て、優先的に自社商品を購入してもらえるようになります。顧客満足に貢献することが最優先であり、その結果として自社商品が売れて売上につながっていくのです。

■売上ではなく顧客満足のために動く「エコシステム」の時代に
顧客といっしょになって顧客満足を生み出す営業スタイルのことを「Co-Creation(コ・クリエーション)」あるいは「顧客共創」と呼びます。昔の営業スタイルでは、「受注を勝ち取る」、「売上を獲得する」のように顧客を獲物のように扱う言葉が飛び交っていました。しかし、顧客を自社売上や利益を生み出すためのパートナーとして考える企業が増える中で、そのような原始的な考え方が通用するはずがありません。いかにして顧客の困りごとを解決できるか、自社の売上ではなく顧客の満足のために動く営業スタイルに早く転換していかなければ、企業同士がお互いに協力し合う「エコシステム」時代に取り残されてしまうリスクがあるのです。