- 2024.12.6
第八十二稿「部門の壁を越えるプロジェクト(会議体)の重要性」―会議体と会議の違い―
■会議と混同される会議体(プロジェクト)
会議と会議体という言葉を混同しているケースが多いように思います。会議体はプロジェクト組織のことであり、ISO9000の要求事項にも出てくるので知っている人も多いはずなのですが、会議体を掲載している組織図を持っている企業はあまり見かけません。会議は複数の関係者が集まって話し合いの内容をまとめる「場」だとすれば、会議体はメンバー全員が明確な目的のもとに複数回にわたって集まり、何らかの意思決定を行う動的な「組織」です。
■会議だけではプロジェクトは動かない
会議と会議体とを明確に区別しないプロジェクト活動では、毎回話し合いだけが行われるだけで何の進捗も見られません。プロジェクトの目的や期間、予算、メンバーの役割も決めないまま、ただ集まっているだけでは成果を期待するのは無理があるでしょう。
■部署の壁を越えるプロジェクトがますます重要に
顧客も顧客ニーズもあまり変わらず、政治や経済、法律、社会も安定している時代では企業組織も縦割りで安定的な形態で問題なかったでしょう。しかし、国の政治経済も人々のライフスタイルも急激に変化し、価値観すら多様化する現代においては、企業組織もフレキシブルに変化対応できることが必要になってきています。関連部署や社員、場合によっては外部要員も含めた<部署の壁を越える>会議体(プロジェクト)を立ち上げて、迅速に答えを出さないといけない問題、課題が次々と待ち構えているのです。
■責任だけ負わされて権限がないプロジェクトリーダー
会議体の定義があまり認識されていないにもかかわらず、あちらこちらでプロジェクトが立ち上がっています。そして、そこには共通して責任だけ負わされて権限がないプロジェクトリーダーが指名されています。明確なルールも計画もなく立ち上がったプロジェクトは当然のように何の成果も出せず、自然消滅していきます。本来ならば成果が出なかった場合でも活動の振り返りを行い、次のプロジェクト活動に生かすといった取り組みが必要になります。
■他部署、他社と共創できない負け組組織にならないために
組織横断、企業間連携が求められるDX時代において、他部署や他社と共創できない負け組組織にならないためには、会議体(プロジェクト)の運営について明確なルールを持ち、しっかりとしたマネジメントを行うことが不可欠です。幹部を目指す社員は、PMPプロジェクトマネジメントプロフェッショナルなどプロジェクト管理に関する資格をめざすなど、プロジェクト管理に関する知識やスキルを身につけることを期待します。