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  • 第八十五稿「DXによる情報共有と情報セキュリティによるアクセス制限」―共有と制限のどちらをとるべきか―
  • 2025.03.17
  • 第八十五稿「DXによる情報共有と情報セキュリティによるアクセス制限」―共有と制限のどちらをとるべきか―

■部署の壁を越えた情報共有の拡大が求められるDX
DXに取り組んでいる企業では、部署の壁を越えた情報共有が積極的に進められています。顧客情報の共有による顧客サービスの向上や新たな顧客サービスの創出が、業務情報の共有によるプロセス改善や統合が、実績情報の共有による将来予測など、情報共有には様々なメリットが考えられます。

■情報漏えいや不正アクセスを防ぐためにアクセス制限が求められる情報セキュリティ
DXとは反対に、情報セキュリティの取り組みでは、できる限り情報に対するアクセス範囲を制限し、情報漏えいや不正アクセスを防ごうとします。特に機密性の高い情報に対しては特定の文書や担当者のみアクセスできるようにしています。

■何でも情報共有がもたらす危険性
情報セキュリティ最優先にも問題があります。役所や大企業に多いのですが、アクセス制限が厳しく、部署をまたぐプロジェクトや関係先との社外連携プロジェクトでは、情報共有が不可欠になるにもかかわらず厳しすぎるアクセス制限によって、活動が滞るだけでなく、個人利用のGoogle DriveやOneDriveを使った不適切な情報共有が起こる危険性もあります。

■何でもアクセス制限がもたらす弊害
多様性の時代において、アンケートは社員の意見や感情を理解し、組織の改善に役立てるための重要なツールとなります。適切な方法でアンケート実施することによって、社員意識の変化の兆候をすばやく察知するなど、社内事情を的確に把握することができるようになります。DXやAIなどビジネス環境の変化に対して自社社員はどう考えているのか?価格高騰や老後不安など生活に対する不安はどうなのか?などトップが考えている自社イメージと異なるアンケート結果が出てくるかもしれません。

■DX推進においても情報セキュリティの取り組みは重要課題
DX推進の実施基準である経済産業省のデジタルガバナンスコード3.0においても、サイバーセキュリティの取り組みが必須となっています。情報セキュリティの取り組みがぜい弱な企業が、デジタル技術による企業結合の足かせになってしまうからです。

<参考>
デジタルガバナンス・コード3.0(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2024/09/20240919001/20240919001-1.pdf

■情報の資産価値及びリスクの見極めが急務
やるべきことはきわめて当たり前のことです。各部署が持つ情報資産(文書やデータ含む)がどのような利用価値があるのか、反対にその情報資産が漏えいしたり紛失したらどのような被害を被るのかについて、ていねいに明らかにしていくことが必要になります。
そのためには、部署の壁を越えた情報共有プロジェクトを立ち上げて、活用と保護の両面から社内情報について議論を始めるべきなのです。