- 2025.05.8
第八十七稿「リスキリングで加速する学歴社会から最新学習歴社会へのシフト―フィンランドに学ぶ本来の高学歴」
■学歴社会から最新学習歴社会へ
昨今、急激な技術革新や産業構造の変化によって、学歴社会の限界があらわになってきています。はるか昔の学生時代に習得した知識や技能だけで、この先に待っている新たな時代を乗り越えることはもはや不可能であることは明らかです。社会は、その時その時に必要となる知識や技能を学び続けていく「最新学習歴社会」に変わりつつあります。
■最新学習歴社会に重要となるリスキリング
「最新学習歴社会」では、学歴社会における「どの学校を卒業したか」ではなく、「今何を学び、今何ができるか」が重要視されます。そして、その取り組みは今まさに注目されているリスキリング(学び直し)に直結します。リスキリングも今だけやればよいというものではなりません。これから先、ずっとリスキリングし続けないといけないのです。
■学歴社会が続く日本の現状
しかし、今の日本においては、依然として「どこの大学を出たか」が個人の能力や社会的地位の指標とされる傾向が強く、企業の採用や昇進においても学歴が大きな影響を及ぼしています。新卒者の最終学歴(=最新学歴)が重視されることは当然として、その後の職業人生全体において、最終学歴ずっと左右するのはおかしいのではないでしょうか。
■フィンランドにおける学歴の意義
フィンランドでは「どこで学んだか」ではなく、「何を学んだか」や「どのような学習成果を持っているか」が重視されます。学歴においても大学名でなく、修士号や博士号の取得や、専攻科目の種類が評価対象となり、特定の職種に対する能力の証明とみなされるのです。また、生涯を通じた継続的な学習が推奨されており、リスキリング(学び直し)はキャリア転換やスキル向上のための自然な取り組みになっています。
■Courseraによるリスキリングが当たり前に
欧米では、インターネット上の教育サービスであるCourseraを利用して、新たに学位や資格を習得する動きが普通になってきています。過去の学歴にしがみついている人と、Courseraで学習歴を積み重ねている人のどちらが評価されるべきでしょうか。
■「最新学習歴社会」への対応が人材確保につながる時代に
今後、日本でもリスキリングを起点とした「最新学習歴」の重要性が高まっていくことは間違いないでしょう。特に、生成AIやデータ分析、脱炭素、グローバル対応など、急速に変化するビジネス環境に対応するには、固定化された最終学歴ではなく、変化に即応する最新の学習履歴こそが価値を持つ時代が到来しているのです。