- 2025.06.17
第八十八稿「若手社員のビジネススキル低下―進行する組織の弱体化を引き止める―」
■若手社員のビジネススキル低下が問題に
自社の商品のことをうまく説明できない、注文請書の意味がわからない、ビジネスメールが書けないといった若手社員のビジネススキル低下が問題になっています。若手社員のやる気や能力の問題ということで済ませてしまうような単純なことではないと思っているのは私だけでしょうか?
■テレワークやパワハラ懸念が若手指導不足の背景にも
若手社員のビジネススキル低下については、様々な原因が指摘されていますが、社会全体に共通する問題がその背景にあるとも言われています。一つは、コロナ感染の時期に採用された若手社員がテレワーク中心となり、社内コミュニケーションが不足したこと、もう一つは、パワハラへの懸念や配慮から指摘や助言を避ける傾向が強まったことなどがあげられています。
■今後懸念されるビジネススキル低下の再生産
さらに今後懸念される問題として、こうした若手社員が先輩や上司になった時、その後輩や部下に対してビジネススキル低下を再生産してしまうことです。社員が共有すべき情報や知識は全てが文書化されているわけではなく、経営理念や企業文化な重要なことほど不文律であったりします。創業時代から脈々とつながれてきた大事な考え方が途切れてしまう危険すらあるのです。
■若手社員のビジネススキル低下の原因
若手社員のビジネススキル低下の原因としては以下のようなことが考えられます。
・業務内容の急激な変化によって、教育研修の有効性が低下している。
・業務の分業化が進み、業務全体像を把握しにくくなっている。
・若手社員自身に成長意識が弱く、スキル向上のモチベーションが低い。
・中堅社員に育成を受けてこなかった世代が多く、教えるノウハウがない。
■今すぐにでも始めるべき対策
若手社員のビジネススキル低下に対して、講じるべき対策としては以下のようなものがあります。
・業務全体を知るための体系的な教育研修
・最新の業務事情に合わせるための教育プログラムの見直し
・コミュニケーション不足を補うためのメンター制度の導入
・中堅社員向けに対する育成(教え方)スキルの教育研修
まず始めることとして、自社内がどのような状況になっているかを把握するために、社員アンケートを実施してみてはどうでしょうか。