- 2025.07.2
第八十九稿「学びつつづけるラーニングアジリティの時代―学歴・資格だけでは生きていかない―」
■ラーニングアジリティとは
ラーニングアジリティとは、「新しい状況において、過去の経験にとらわれず、柔軟かつ迅速に学び、適応し、成果を出す力」を指します。要するに、急激に変化する現代においては、新しく出てきた考え方や技術をその都度学んでいくことが必要だということです。
■社会の変化がますます急激に
AIなど新しいデジタル技術が次々と出てきています。スマホのアプリでも便利なものが出てきており、リアルタイム翻訳や、本を聞いて読めるオーディオブックなど、私達の行動の範囲を広げてくれるようなものが次々と登場しています。その一方で、電子マネーの多様化が進むなど、身の回りの変化に着いていけない人が出てきているのも事実です。
■ラーニングアジリティが注目される背景
経理や総務、労務などの事務分野においては、紙やそろばん、電卓を使う場面を見ることはほとんどなくなってしまいました。Excelなどオフィスソフトはもちろんのこと、新しいアプリやクラウドサービスを使いこなすことも、事務スタッフにとっては不可欠な能力になっているのではないでしょうか。情報セキュリティも必須のスキルになっていくでしょう。
■企業がラーニングアジリティに期待する理由
弓と鉄砲での戦いのように、使う道具の違いによって生産性や競争力に圧倒的な差が出る現代においては、「まじめ」や「がんばり」だけでは通用しないことはもはや説明不要です。営業職がデジタルマーケティングを勉強するのも、研究職が生成AIの活用方法を勉強するのも、人事職がコーチングやチームビルディングについて勉強するのも、普通のことです。既存の枠にとらわれずに新しい視点や方法にチャレンジできる人材が今、求められています。
■AIエージェントがもうそこまで来ている
過去の学歴や取得資格にしがみついている場合ではありません。誰もが新しい学びに取り組んでいく必要があるのです。管理職であっても、新たなマネジメント技法について学んでいかなければ、AIエージェントにその仕事を奪われてしまうかもしれません。
■人間参加型(ヒューマンインザループ)の時代へ
どれほど優秀なAIエージェントが出てきたとしても、その仕事を監督し、評価することができる人材が不可欠です。今、AI活用において、「人間参加型(ヒューマンインザループ)」という考え方に注目されています。AIに依存するのではなく、AIといっしょに仕事をする人材が必要なのです。
■今すぐラーニングアジリティを始めよう
新しいことを学ぶのに今では困ることはありません。インターネット上には様々なeラーニングがあり、アマゾンではKindle Unlimited という読み放題サービスもあります。世界中の大学講義を受けられるCourseraでは、「Coursera Plus」という定額制プランが提供されており、多く人が利用しています。人生に一度だけ高額な学費を払って必死で勉強するというスタイルから、廉価なサブスクを使って気楽に勉強し続けるというスタイルに変えていくことをお勧めします。