- 2021.08.3
DXでも重要となるAsIs ToBe分析-問題と課題を混同してはいけない-
■DXの実現にはBPRが不可欠
今、話題となっているDXデジタル・トランスフォーメーションは単なる情報化を意味するものではありません。DXは最新の情報技術を駆使して、ビジネスモデルそのものを変革しようというものであり、あるべきビジネスモデル像を明らかにした上で、現状のビジネスモデルとのギャップを埋めるための道具として最新の情報技術を駆使するという順序感を持つことが大切です。
■問題と課題の違い
あるべきビジネスモデル像と現状のビジネスモデルとの間のギャップは、多くの場合、「問題」としてあらわになります。そして、この「問題」を解消していくために取り組んで行かなければならないことが「課題」となります。多くの企業において、この「問題」と「課題」の違いを混同しているケースを見受けることがあります。問題発見なしでいきなり「課題」を掲げるのは乱暴であり、「問題」を一気につぶす解決策を考えるのも短絡的すぎます。
■AsIsでは徹底的な現場主義が必要
T社、H社で三現主義(現場、現物、現実)が重視されるように、AsIsの取り組みでは、いかに現実をしっかりと把握できるかが重要となります。思い込みや偏見が残ったままでのヒアリングや観察、アンケートをどれだけやっても現実は見えてきません。DXだからといって、華やかな事例をどれほど真似してみたところで、現実とのギャップが見えてこなければ意味がないのです。
■ToBeでは異業種の事例も参考に
ビジネスモデルを変革するというのは言葉で言うほど簡単なことではありません。今までやってきたことを否定するようなことは誰にとっても難しいことです。ましてや、その方法で成功してきたとすれば余計に変えることは至難の業です。そこで取り組むべきこととして必要となるのが、異業種での事例です。トヨタのかんばん方式では、部品供給を行うサプライヤーをスーパーマーケット、自動車組み立て作業行う工場を顧客と考えることによって、生まれたビジネスモデルです。ToBeで考えるビジネスモデル像が現状ありきになってしまえば、そこから出てくるギャップは現状改善程度のものしか出てこなくなってしまうのです。
■トランスフォーメーションには課題アプローチが不可欠
AsIsとToBeのギャップが大きいからこそ、いきなり「問題」解決とならずに、「課題」というステップを踏んだアプローチが必要になってくるのです。デジタル・トランスフォーメーションの「トランスフォーメーション」は変態という意味であり、幼虫が蝶になるほどの大きな変化を必要とするもの想定しています。デジタイゼーション(デジタル化)からデジタライゼーション(IT化)という課題をクリアしてから、はじめてデジタル・トランスフォーメーション(デジタル変革)に取り組めるのです。