- 2021.10.18
「課題を分離して承認要求を捨てる」-自分の課題と人の課題を区別する-
■上司や部下、家族が自分のことをわかってくれない
上司や部下、家族が自分のことをわかってくれない。でもこれは自分の課題ではなく人の課題です。自分ではどうしようもないことで悩んでもしかたがありません。いつでも大切なことは、どんな状況であっても自分ができることは何かを考えて、それを一生懸命やり抜くことです。「どうせわかってくれない。」、「言っても話を聞いてくれない。」「やっても認めてくれない。」そんなことはどうでもいいことなのです。
■自分の課題と人の課題を区別する
アドラー心理学の入門書である『嫌われる勇気』では、自分の課題と人の課題を区別することがテーマとなっています。人は自分で解決できる課題と自分では解決できない課題を混同させてしまい、人に対して余計なお世話をして嫌がられたり、嫌な上司や仕事ができない部下のせいでストレスを抱えてしまいます。親が子供に勉強しなさいと言えば言うほど反抗され、上司や部下のことで腹をたてて冷静さを失い仕事をミスしたりと、人の課題に踏み込むとろくなことがないのです。にもかかわらず、人はなぜ他人に振り回されるのでしょうか。
■嫌われる勇気とは
本書のタイトルである「嫌われる勇気」は、自分の課題と人の課題を区別するには勇気がいることを教えています。親らしく振る舞いたい、子供が大人になってからなんでもっと勉強しろと言ってくれなかったのと言われたくない、あるいは世間様からあの子の親は何をしているのだと言われたくないと、結局、親は自分自身のことをよく思われたい、悪く言われたくないからという自分の都合を子供に押しつけているだけなのです。嫌な上司や仕事ができない部下にしても、まわりから同じように思われることが嫌だったりします。どれほどあがいてみたところで、他人は他人、自分の思い通りにはなりません。親子であっても同じです。何とかしようとすればするほど、関係は悪くなる一方です。
■承認要求
心理学者のアドラーは、人が幸せに生きるためには承認欲求は不要だと説いています。人はまわりの人に認めてもらいたいと思います。人からよく思われたいと思います。人から評価されたいと思います。知らず知らずと他人の目ばかり気にして自分自身を縛りつけ、不自由になってしまいます。人が自分のことをどう思おうが気にせず、自分がやるべきことをやればいいのです。
■他人の課題は見守り、助けてあげる
他人の課題に振り回されると、本当にやるべき自分の課題をおざなりにしてしまい、自分自身の成長がとまり、自分の不幸をその人のせいにして、さらに関係が悪化するという負のスパイラルに入り込んでいきます。勉強ができない子供や仕事ができない部下に対しては、必要以上に関与せず、暖かく見守ってあげることが必要です。心を穏やかに保っているからこそ、ここぞという時に助言や支援ができるのです。考えが違う上司だとしても、その上司が困るだろうと思うことを前もってやっておいてあげればよいのです。上司の考えを変えるのは自分の課題ではなく、その人の課題、自分の課題としてやるべきことは自分が正しいと思うことをその上司のためにやってあげることなのです。
■余計なことで悩まない
人はとかく他人のことを勝手に悩んで疲れてしまいます。どうしようもないことで悩むのでなく、今自分ができることを考えて、行動すれば必ず結果を出せます。そこに人の承認や評価などどうでもよいことなのです。テレワークが進む中で、人のことを気にしすぎても、ますます思い通りにならなくなってきています。わかり合える仲間づくりも大切ですが、自分自身でやるべきことをやっていける「自立した強さ」が求められる時代なのではないでしょうか。