- 2022.05.25
第四十七稿「部署間のやりとりもサービスとして考える」-内部顧客としての関連部署-
■社内部署も内部顧客と考えるISO9000
ISO9000では、「顧客は、組織の内部又は外部のいずれでもあり得る」と定義されています。
プロセスアプローチを採用するISO9000が、仕事のプロセス間の相互関係を把握して、一連のプロセスをシステムとして運営することを求めていることを考えれば、各プロセスを担う部署がその関連プロセスを担う部署を内部顧客あるいは内部取引先として考えるべきことは当然のことです。
■サービスとして考えるから顧客満足につながる
外部顧客のことしか考えていない組織では、営業以外の部署、特に管理部門の仕事が独りよがりになりがちです。外からは見えない内部プロセスの部署の仕事は、外部顧客からは評価しにくいのです。日頃、外部顧客との接点がない工場で工場見学コースを作ったり、枕元に「私がベッドメイキングしました。」というメッセージを残すホテルがあるのも、内部プロセスの部署の仕事を外部顧客に見える化する努力の結果だと言えるでしょう。
■内部顧客へのサービス連鎖が外部顧客の満足に結びつく
しかし、本来的には、内部プロセスの仕事には、その仕事を依頼している内部顧客がいるはずです。外部顧客と直接つながっていなかったとしても、内部顧客をもっと満足させようと思うことによって、仕事がサービスとなってプロセス連鎖していき、外部顧客の満足へとつながっていくものなのです。
■うやむやになりがちな部署間関係
では組織の現実はどうでしょうか。部署ごとの仕事はほとんど変わることなく固定しており、部署間の仕事の依頼も、業務連絡や業務システムからの通知のように、形骸化していないでしょうか。うまく行っているときは何のお礼もなく、トラブルがあったときだけ叱責するという関係になっていないでしょうか。外部顧客からみればトラブルを起こした部署に対して仕事を依頼した部署こそ監督責任や説明責任が問われるべきです。
■顧客がいない仕事は存在しない
自部署の仕事はどこからオーダーを受けているのか明確になっているでしょうか。外部顧客との折衝を主業務とする営業からみれば、工場は客先注文を作らせる内部取引先にしか見えないかもしれませんが、適切な製造のために、客先に正しく提案や見積を行うという仕事を工場から受託しているという関係もあると言えないでしょうか。
■内部顧客のニーズを理解していますか、内部取引先にニーズを伝えていますか
社内に存在する内部顧客、内部取引先の関係はとかく見えにくくなりがちです。その結果、工場に確認して更新すべき原価表を更新せずに使用し続けたり、営業に何のことわりなく製造方法を変更してしまうという問題が起きてしまうのです。社内に存在する内部顧客、内部取引先の関係-社内サプライチェーン-を見える化し、お互いのニーズについて理解した上で、仕事をサービスとして改善していけば、外部顧客の満足度向上に結びついていくはずなのです。