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  • 第四十八稿「ビジネスに生かせるメタ認知」-自分を客観視できる自分をつくる-
  • 2022.06.6
  • 第四十八稿「ビジネスに生かせるメタ認知」-自分を客観視できる自分をつくる-

■メタ認知とは
メタ認知とは、自分の認知活動を客観的にとらえること、その能力のことを意味します。なぜ今、自分は怒っているのか、悲しんでいるのか、そうした自分の思考や行動、感情を、自分自身を超越した場所から客観的に見ることによって、冷静な判断や行動ができるようになります。

■自分のことになると正しい判断ができない理由
傍目八目(おかめはちもく)という有名なことわざがあります。他人の将棋や囲碁をそばで見ていると、当事者よりも冷静に手が読めてしまいます。当事者は興奮したり感情が入ってしまいますが、第三者は物事を冷静に見極められるからです。人はどうしても自分の考えを証明する都合のいい証拠ばかりを探してしまいます。怒ったり悲しんでいるときは相手が悪い、悩んでいるときは自分だけが損をしているというように考えが偏り、「いい」と「悪い」、「敵」と「味方」のように極端な二元論に走りがちです。

■自分自身を客観視する
人から怒られたり、不愉快なことを言われれば誰でも気分を悪くします。顧客からのクレームや上司や部下からの不満や文句、家に帰ってからは家族の不愉快な言動や態度など、私たちはいつ何時でも心の攻撃を受け続けています。こうした中で冷静な判断や行動をしろと言われても無理なことです。怒ったり悲しんだりするのはしかたのないことです。その上で、一時的な感情や反応に流されずに、なぜ自分は怒っているのか悲しんでいるのかについては内省(仏教用語では内観)し、冷静にその理由や原因を考えることが大切なのです。

■相手だけが悪いのではない、自分だけが悪いのではない
メタ認知ができるようになると、まわりのことがよく見えるようになってきます。我を忘れて二元論に走りがちな人は、まわりのことが見えなくなっています。夫婦げんかをしている風景を上から見ると、悲しんでいる子供の姿が見えてくるかもしれません。苦情を言ってきている顧客の過去を見ることができれば、自社のことをすごくよく思っているからこそ文句を言っていることがわかるかもしれません。上司から怒られたからといって、嫌われているのではなく気に入られているからこそ指導してくれているかもしれません。時には怒っている人の方に問題があることだってあります。相手の反応に直接反応するのではなく、一呼吸置いて何が起きているのか冷静になって考えることで、正しい答えが見えてくるはずです。

■大切なことを見落としていませんか?
スティーブ・ジョブズが禅に取り組んでいたことは有名な話しです。忙しすぎる日々の中ではメタ認知する余裕もなく、反応に流されてしまいがちです。きちんと休みの日をとって、何も考えない時間をつくることによって、今までの自分を振り返ることができます。余裕なく動いていた日常の中で、見落としていたこと、忘れていたことを思い出して、大切なあの人に感謝を言いにいきませんか?