- 2022.07.27
第五十二稿「問題分析で問題の根本原因を探る」-なぜなぜ分析に見られる失敗例-
■問題発生は成長のチャンス
仕事でも勉強でもスポーツでも失敗から学べる人が成長することができます。仕事においては、様々な問題が次々と起こります。そのとき、なぜ問題が起きたのか(原因)、どうすれば問題が起きないようにすることができるのか(対策)についてしっかりと振り返ることができれば、問題の再発を防止できるだけでなく、以前よりも質の高い仕事へと進化する機会にさえなります。
■なぜなぜを三回繰り返す
問題について振り返り、今後の仕事の改善に活用する手法として、トヨタのなぜなぜ分析が有名です。トヨタのなぜなぜ分析では「なぜ」を五回繰り返してより本質的な根本問題を見つけ出しますが、途中でそれ以上の問題を思いつかないことがよくあります。結局、何が問題なのか、その原因は何かについて探っていくためには、多くの失敗や問題を経験することによって、知見を深めることが不可欠になります。まずは、現象問題→直接の原因問題→本質的な根本問題、というように三つの「なぜ」を考えるようにすることをお勧めします。
■問題を認識できていない
実際の問題分析をみてみると、そもそも最初の現象問題すら把握できていないことが少なくありません。現象問題には、HAZOPと呼ばれるリスク分析手法で使われているガイドワードの知識が役に立ちます。HAZOPのガイドワードは非常に簡単なものですが、正常な状態が何なのかについてしっかり理解できていなければ、結局は役に立ちません。
<HAZOPガイドワード>
・None意図したことが全く起こらない
・More意図した量の最大値を超える
・Less 意図した量の最小値を超える
・As well As 意図したことはすべて達成されるが、余分な事態が起こる
・Part Of 意図したことの一部しか達成されない
・Reverse 意図したことと反対のことが起きる
・Other Than 意図したことは全く達成されず、全く異なることが起こる。
■問題現象から解決策は出てこない
HAZOPガイドワードによって問題現象を把握できたとしても、なぜそのような現象が起きたのかという原因を突き止めなければ解決策を導き出すことができません。また、その原因にしても、さらにその原因を引き起こしている根本的な原因があるかもしれません。そのために必要となるのが問題分析なのです。なかなか原因分析ができないというのであれば、業務フローなどによる業務の「見える化」が先に必要なのかもしれません。属人的になっている仕事では、「以後気をつけます。」だけで終わってしまうことはよくある話しです。
■問題と課題の混同
最後に、問題と課題を混同してしまう人について触れておきたいと思います。問題とは、組織の目標など正常な状態と実際の状況との間にあるギャップのことです。課題は、正常な状態と実際の状況との間にあるギャップを埋めるために、やるべきことです。問題の記述に「○○ができていない。」、「○○をしなければならない。」としてしまう人は問題現象の把握やその原因分析を飛ばしてしまい、自分勝手な思い込みの課題設定をしているのです。長年やっている仕事では、問題も課題もある程度見えているからこそ起こしてしまいやすい間違いなのですが、問題分析は丁寧に行うことではじめて、新たな気づきがあるのです。