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  • 第六十四稿「人によって見えない騙し絵は日常にあふれている」-同じことを話していても気づかない-
  • 2023.06.21
  • 第六十四稿「人によって見えない騙し絵は日常にあふれている」-同じことを話していても気づかない-

■騙し絵と同じことが起きている
老人に見えるかと思うと、実は若い女性がいる騙し絵を見たことがある人は多いのではないでしょうか。難しいものになると、答えを教えてもらってもわからないということも珍しくありません。実は、この騙し絵で起きていることが日常茶飯事として起きているとしたら、どう思われるでしょうか。

■思い込みが人を誤らせる
人は多くの知識や経験を持てば持つほど思い込みのリスクが高まります。「リンゴは赤い」という常識も、実際には青いリンゴも黄色いリンゴも多いことを考えれば、さほど正しいとは言えないでしょう。例外的なことが起きたとき、多くの組織で対応が遅れてしまうのは、そんなことが起きるわけがないと思いこんでしまうからです。

■見えていなくても見えているふりをする
さらにやっかいなことに、実は見えていないことやわかっていないことを素直に言えずに、見えている、知っているふりをしてしまう人が少なくないのです。特に、ベテラン社員になればなるほど、知らないということが恥となり、まわりに聞くことが難しくなっていきます。その結果、決まったルールには従うけれども、本当の意味がわかっていないため、応用がきかない、やり方が変わるとついていけないということが起きるのです。

■自分がつくった資料は本当に理解してもらえているだろうか
自分がつくった資料は本当に理解してもらえているでしょうか?人がつくった資料を自分がどれほど理解できているかを考えれば、十分に理解し合えていると自信を持って答えることは難しいでしょう。深く理解していなくても、誰かがやるだろう、助けてくれるだろうと思っている限り、いざというときに動けません。その典型的な例がBCP事業継続計画であり、緊急事態手順なのです。

■情報共有の重要性について再認識を
同じ景色を見ていても、場所が違えば別の景色が見えているかもしれません。部署や役職が違えば見えてくる景色が違ってくるのは当然のことです。当たり前に思えることであっても、自分に見える景色に違和感があれば、同じ景色を見ている人と共有しなければなりません。組織が困難に陥るとき、直接的な原因事象よりも社内のコミュニケーションが原因となることが多いのです。物理的に情報を一元管理しているだけでは、情報共有にはなりません。それを見た人がどのようなことを感じて疑問に思うのかについて、意見交換し、認識合わせしておく取り組みが非常に重要なのです。