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  • 第六十六稿「箇条書き思考から図解思考へ」-要素間の関係性を見落とす危険性-
  • 2023.08.9
  • 第六十六稿「箇条書き思考から図解思考へ」-要素間の関係性を見落とす危険性-

■職場でよく使われる箇条書
問題の洗い出しや課題の整理など、ものごとを簡潔に整理して理解したり、考えたり、相手に伝えようとしたりするときに利用されることが多いのが箇条書きです。冗長性をなくして見やすくできるというメリットがある箇条書きですが、実際には意図したとおりに伝わらなかったというトラブルが多いのも事実です。

■箇条書きの欠点
ものごとを構成する重要なポイントのみを抽出して箇条書きにすると、わかりやすく整理されたような気になってしまいますが、実は、箇条書きには大きな欠点があります。箇条書きでは列挙された要素間の大小や重なり、関係性がわかりません。その結果、重要なことを伝えたつもりでも、読み手が持つ前提知識や懸念事項などの違いによって、意味の取り方が違ってくるのです。

■箇条書きから図解へ
そこで箇条書きに変わるものとして図解が使われることになります。パワーポイントなどを使えば、四角や楕円といった図形の中に文字を入れられ、図形の大きさや場所を自在に変更でき、関係する図形間を矢印で結びつけることができます。ものごとの関係を図でとらえて、順序や大小、前後関係や因果関係などを明確に示すことによって、あいまいさをなくして誤解を生まない文書を作成することができます。

■箇条書きが必要なときもある
営業日報や議事録など早く情報を伝えるために箇条書きを使うべき場面も少なくありません。いつでもなんでも図解を使っていては時間がかかってしまい、仕事の生産性も落ちてしまいます。メールの本文に大事なことを簡潔に列記した箇条書きは見やすく、読み手の負担を減らしてくれます。箇条書きでは誤解を生む恐れがあると思えば、後からしっかりとした図解文書をつくればよいのです。

■箇条書きを改良する
箇条書きに階層した段落番号を付けることによって、ある程度、関係性を示すことができます。関連する要素は上位の要素の下に置くことによって、同じグループであることが明確になります。その際、1-1や1-2といった段落番号を付けることによって、さらに関係性を明確にすることができます。

■読み手に思いやりを
箇条書きにしても図解にしても、共通するのは読み手に対する思いやりです。いかにわかりやすく、誤解のないように大事なことを伝えることができるかを考えることが大切です。
あいまいな文章は業務を混乱させ、明確な文書は業務を正常にまわします。文章の善し悪しが組織全体に影響を与えてしまうということを肝に銘じておくべきです。