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  • 第七十二稿「組織の成長をうながすプロアクティブ監査」―不適合をチャンスととらえる内部監査へ―
  • 2024.02.8
  • 第七十二稿「組織の成長をうながすプロアクティブ監査」―不適合をチャンスととらえる内部監査へ―

■Plan固定のDoCheckActionサイクルになっていないか
監査において不適合を受けることを問題と思っている人が多いかもしれませんが、本来、監査は内部監査であれ外部監査であれ、不適合を受けるからこそ改善できるという意義があります。定められたルールから逸脱してしまうのは、逸脱した方が悪いと考えるのが普通かもしれません。しかし、そもそものルールの方が現状にそぐわなくなっているのであれば、悪いのは逸脱した側ではなくルール側にあるはずです。不適合が起きた場合、実行側の是正としての教育を強化するべきか、ルールの見直しを行うべきかについて熟慮しなければなりません。PDCAサイクルにおいて、Checkの後のActionはDoの改善だけでなくPlanの改善も含まれるのです。

■現状維持の監査では組織を停滞させる
通常、組織はルールを変えることを好みません。現状維持をよしとするために、ルール逸脱を許さない傾向が強くなってしまいがちです。その結果、顧客ニーズの変化や、社員の能力向上、AIなどツール革新といった経営環境の変化があっても、仕事のやり方は昔のままということが起きてしまうのです。特に、DXや働き方改革、ダイバーシティ(多様化)など内外の経営環境が急激に変化している中で、取り残されてしまうリスクが高まっています。もはや現状維持の監査では組織を停滞させてしまう悪手になりかねません。

■不適合はリスクではなく成長できるチャンス
不適合はリスクではなく成長できるチャンスと考えなければなりません。監査する側は不適合を悪者扱いするだけではなく、なぜ不適合が起きたのかを考え、その理由に正当性があるならば意義ある不適合として経営陣に報告すべきなのです。むしろ、正当性のある不適合を排除してしまうということは、自社にとっての成長の芽を摘む行為となっている危険性があります。

■変革ありきの時代にもとめられるプロアクティブ監査
計画策定時には想像もしなかった変化やリスクがあっという間に生まれては大きくなる現代社会においては、変革ありきで行動することが必要です。ルールどおりに行動するだけでは、変化やリスクに対応できずに組織を危機的な状況に陥れてしまうかもしれません。変化やリスクを目の当たりにしてもルールどおりの行動しかできない状況こそ、不適合と考えるようなプロアクティブな監査を志向していくことが今こそ求められているのです。